生成AIの進化でDX化が加速! DXにアジャイルは本当に必要?
高橋 雪
生成AIが飛躍的な進歩をしている昨今、ビジネスを取り巻く環境が急速に変化し、DXへの取り組みが急務となっています。
日本企業のDXへの取り組み状況は、約7割
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)がまとめた「DX同行2024(データ集)」によると、
約74%の企業がDXへの取り組みを何らかの形で行っています。
(※2023年の日本企業のDXの取り組み状況)
しかし、取り組んでいるのは個別・一部の部門で、
全社的には取り組みをしていない企業が約6割という状況です。
日本企業のDXへの本格的な取り組みは、まだまだこれからと言えます。
日本のアジャイル導入率は、約3割
DXへの取り組みとセットとされることが多い、アジャイル型のアプローチ。
最近ではアジャイルを導入する企業も増えてきましたが、米国企業に比べると、まだまだ日本の普及率は低い状況です。
以下は、日米の部門ごとのアジャイル導入率を比較したグラフです。
※導入率は「全面的に取り入れている」と「一部取り入れている」の合計値
データ出典:IPA(独立行政法人情報処理推進機構) DX白書 2023
日本の平均導入率は34.8%、IT部門では約50%です。
米国の平均導入率は70.8%、IT部門では約80%です。
米国のIT部門ではアジャイルが主流となっており、
従来の予測型(ウォーターフォール等)の開発手法は使われなくなっていることがわかります。
アジャイルを導入する前に、プロジェクトの特性を見極める
DX化にはアジャイル開発をセットにすることが定番ですが、
思考停止でアジャイルを導入する前に、
まずはプロジェクトの特性を見極めることが必要です。
場合によってはアジャイル以外の手法が適しているケースもあります。
■要求が明確 ・ 技術的が明確
→ウォーターフォール開発が向いています。
■要求があいまい / 変化しやすい ・ 技術的な挑戦がある
→アジャイル開発が向いています。
■要求があいまい / 変化しやすい ・ 技術的が明確
→プロトタイプ型開発が向いています。
■要求があいまい / 変化しやすい ・ 技術的難易度が非常に高い
→混沌(カオス)と呼ばれる状態で、プロジェクトに取り組むこと自体が危険です。
例えば、技術調査を行って技術的な不確実性を下げるなど、どちらかを下げる必要があります。
※上記の分類は、プロジェクトの不確実性と複雑性を評価するステイシー・マトリックス(ラルフ・D・ステイシー)を参考に分類しています
アジャイルとウォーターフォールのハイブリッド型
アジャイルの手法に慣れていない場合、両方のいいとこどりをしたハイブリッド型を採用したいと考えることがあると思います。
しかし、アジャイル開発の専門家(主にアジャイルコーチ)の間では
「ウォーターフォールとアジャイルのハイブリッド型は、アジャイルのメリットを発揮できない」
「安易にハイブリッド型を採用すると、期待していた効果を得られない」
とする見解が多いです。
※どちらの手法にも精通したプロフェッショナルが主導する場合は別です
ウォーターフォールとアジャイルの考え方は真逆の性質があるので、最もな意見と言えます。
① 要件定義~設計をウォーターフォール + 実装以降をアジャイル
■初期段階で、要件定義や設計を行い、作成物・納期・費用などの全体像を明確に示して合意形成
■実装段階で、アジャイルの柔軟性のみを取り入れて「仕様変更・追加を受け入れる」
といった対応です。
ウォーターフォールのデメリットが解消され、顧客満足度が高まるのでは?と考えてしまいそうになりますが、最も避けるべき組み合わせとされています。
理由としては
・仕様変更、追加が繰り返されて、永遠に仕事が終わらずチームが疲弊(設計からやり直し)
・追加請求や納期延長のハードルが非常に高くなる(最初に予算や納期を確定させているため)
・納期も遅延して品質も低下し、顧客満足度が下がる
という誰も得しない地獄の状況に陥りやすいためです。
② 要件定義~設計をアジャイル + 実装以降をウォーターフォール
一見アジャイルの柔軟性をうまく取り入れた方法に思えますが、
要件定義や設計のみでは「インクリメント(リリース可能な成果物)」になりません。
そのため、アジャイルのプラクティスを部分的に取り入れているだけの、アジャイルとは似て非なるものとなり、アジャイルのスピード感や柔軟性を十分に発揮できない可能性が高い組み合わせとされています。
プロトタイプ型開発
ウォーターフォールやアジャイルとはまた異なるアプローチとして、「プロトタイプ型開発」という開発手法があります。
要求が曖昧でも、技術的な難易度はそれほど高くないプロジェクトに向いています。
▼プロトタイプ型開発の主な流れ
要求分析 ⇒ プロトタイプ作成 ⇔ 確認 ⇒ 繰り返し ⇒ 本開発
早い段階でデザインやUXを確認できるため、仕様変更による大きな手戻りを回避できます。
生成AIの活用でプロトタイプ開発が低コスト・スピーディーに
これまではプロトタイプ開発に大きなコストがかかっていましたが、生成AIの進歩でプロトタイプ開発のコストやハードルが、かなり下がりました。
開発の流れは、ほぼウォーターフォールと同じ
しかし、プロトタイプ型開発以外の流れはウォーターフォールとほぼ同様で、
仕様確定後の変更は原則できず、全ての機能が完成するまでリリースはできません。
DX化には、アジャイル導入が必要
DX化では、「スピード感」と「柔軟性」が成功のカギを握ります。
テクノロジーや市場トレンドが急速に変化する中、
それに迅速に対応できる体制が求められるからです。
従来の予測型開発手法(ウォーターフォールやプロトタイプ型など)は、
要件定義で全機能を固め、すべての実装を終えるまでリリースできません。
また、一度確定した要件を変更しない前提で進めるため、
市場の変化や新たなニーズへの対応が遅れがちです。
一方、アジャイル開発では短いサイクル(スプリント)ごとに機能単位で「リリース可能な成果物」を作成し、その都度フィードバックを受けながら進化させていきます。
このアプローチにより、DXにおける投資のリスクを抑えつつ、顧客からの早期評価を得ることができます。
まとめ
「全機能完成後でなければリリースできない」従来の開発手法では、DX化に求められるスピードについていけません。アジャイルは、DXの推進に必要なスピード感と柔軟性を提供し、早期の市場投入を可能にします。
これこそ、アジャイルがDX化において必要不可欠とされる理由です。
DXに取り組むには、少しずつでもアジャイルの理解を進め、取り入れていくことをおすすめします。
参考情報:
IPA(独立行政法人情報処理推進機構) DX白書 2023
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)DX同行2024(データ集)
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