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Webシステム開発は業務効率化から、価値の実現へ 

高橋 雪

Webシステム開発のイメージ画像

これまでのシステム開発プロジェクトは「業務効率化」を主な目的としていました。

しかし、ITによる業務効率化が普及した今、業務効率化だけでは企業の競争優位性を確保できない時代に突入しています。

そのため、今求められているのは業務効率化に加えて「価値」を重視したシステム開発です。

これはDX推進でも言及されていることで、AIやビッグデータを活用して、企業の文化やビジネスモデルそのものを改革することが必要とされています。

従来のシステム開発と、今後のシステム開発の違い

従来のシステム開発と、これからのシステム開発の違いを比較すると、以下のような形になります。

主な目的成果目標主な開発手法主な契約形態
従来のシステム開発業務効率化納期、品質、予算の遵守ウォーターフォール型請負契約
(※要件定義は準委任になるケースが多い)
今後のシステム開発価値の実現顧客価値の実現
競争優位性の確保
アジャイル開発
ハイブリッド型
(ウォーターフォール+アジャイル
準委任契約

従来のシステム開発では業務効率化を主な目的とし、納期・品質・予算を遵守することが求められてきました。

しかし、今後のシステム開発では価値の実現を主な目的とし、顧客価値の実現や競争優位性の確保が求められています。そのため、プロジェクト開発時には、経営層やITストラテジスト(ITを活用して事業を改革・高度化・最適化するための基本戦略を策定・提案・推進する専門職)の視点も必要となります。

今後のWebシステム開発で目指すべき価値とは

今後のWebシステム開発で目指すべき価値として、以下のようなものがあります。

ユーザーエクスペリエンス(UX)の向上

  • 使いやすさの向上: ユーザーが直感的に操作できるデザインやナビゲーションを提供し、シンプルでわかりやすい体験を目指す。
  • パフォーマンスと信頼性: システムのレスポンス速度を最適化し、安定した動作を保証することで、ユーザーのストレスを軽減し、信頼性の高い体験を提供する。
  • ユーザー中心の改善: ユーザーのフィードバックを重視し、実際のニーズや意見を反映させることで、継続的にUXを改善する仕組みを構築する。

セキュリティとプライバシー

  • データ保護: ユーザーの個人情報を安全に管理することが求められる。HTTPS、暗号化、二要素認証などのセキュリティ対策を導入する。
  • GDPRやCCPAなどの法規制への対応: プライバシーに関する規制を遵守し、ユーザーからの信頼を得る。

パフォーマンスと信頼性

  • 高速なレスポンス: Webシステムの読み込み速度や処理速度を向上させることが求められる。ユーザーがストレスを感じないスピードを保つことが重要。
  • 可用性: システムが常に利用可能であること。ダウンタイムを最小限に抑えるためのインフラや運用体制を整える。

拡張性と柔軟性

  • マイクロサービス構造(アーキテクチャ): 新しい機能やサービスを追加しやすい構造にすることが求められる。これにより、ビジネスニーズの変化に迅速に対応できる。アプリケーションを小さく独立したサービスに分割し、それぞれのサービスが特定のビジネス機能を担当する設計を行う。
  • APIの活用: 外部サービスとの連携を強化し、新しい機能を素早く追加できるようにすることが価値につながる。

データの活用

  • 分析とフィードバック: ユーザーの行動データを収集・分析し、システムの改善に活かすことで、価値を生み出すことができる。A/Bテストやユーザーテストを通じて、改善策を見つけることが重要だね。

持続可能性と社会的責任

  • 環境への配慮: エネルギー効率の良いインフラを利用したり、サステナブルな開発プロセスを導入することで、社会的責任を果たすことが求められる。

コミュニティとエコシステムの構築

  • ユーザーとのエンゲージメント: フィードバックを積極的に取り入れ、ユーザーコミュニティを形成することで、より良い製品を作ることができる。ユーザーの声を反映した開発が求められる。

まとめ

今後のシステム開発では業務効率化に加えて、様々な「価値」を重視したシステム開発を行うことが重要です。そのため、プロジェクトを取りまとめるプロジェクトマネージャーやディレクターは、システム開発に関わる視点のみでなく、経営やIT戦略の視点も必要となってきます。

参考情報:

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