再注目すべき、無料ヒートマップツールClarity
八百谷 真
目新しい情報ではないのですが、高機能な割には広く知られていない無料ツールMicrosoft「Clarity(クラリティ)」。あらためて注目すべき理由があります。
あらためてClarityのどこが凄い?
Clariyはいわゆるヒートマップツールです。それだけですとありふれたツールなのですが、「完全無料」「アクセス数無制限」が凄い。一般的なヒートマップツールはアクセス数に応じた月額課金が普通です。しかも有用な件数のデータを取得するには月額数万円以上が当たり前なので、Clarityの登場は破壊的なインパクトがありました。
以下、私の個人的な注目ポイントです。
① クリック数ランキング
サイトのUI改善のためによく参考にする機能は、ヒートマップのクリック数ランキングです。ヒートマップという曖昧な視覚効果だけでなく、明確な順位を示してくれるのは大変ありがたいです。
② フォルダレベルの横断的な分析
ヒートマップを表示する対象のパスを指定することで、単一のページだけでなく、例えば同一テンプレートで作られた商品500ページの合算したヒートマップを見ることが出来ます。有料ヒートマップツールでも対応していない場合がある、重要な機能です。
③ AIによる改善アドバイス
ヒートマップツールを利用して困るのが、データの読み取り方です。色温度の違いはとても視覚的で直感的な反面、そこから問題点と改善点を見つけ出すのは意外と経験が必要で難しいものです。ClarityにはAIによる改善アドバイス機能があるため、結局のところ何が問題なのかを教えてくれます。
※ただし、間違っていることも多いのであくまでひらめきに使うためのものです。
④ しかしスクロールヒートマップは残念!
スクロールヒートマップについては単純にスクロール到達距離による明暗のみ。有料ツールPtengineのようにページ中腹だけ不自然にヒートマップが赤かったりして注視されていることが分かる仕様ではありません。こういった点はアップデートを期待しています。
今、Clarityを推す理由はSEO
Clarityは、サイト運営者が来訪ユーザの行動を知りUI/UX改善を行うためのサポートをしてくれるツールですが、これが2024年以降のSEOで明確に重要となってきます。
Googleは、検索アルゴリズムにもAnalyticsにもエンゲージメントという概念を持ち込み、重要視するようになってきています。エンゲージメントとは「約束」「契約」を意味しますが、つまり来訪ユーザがコンテンツに対して好意的なアクションをしたかどうかを上位表示要素とする仕組みです。
2024年の複数回におよぶアルゴリズム更新によって、小規模サイトでもユーザの反応の良いコンテンツであれば大規模サイトよりも上位表示される傾向が増しています。
ClarityによるUI/UX改善は検索マーケティングも兼ねる事になるのです。